「統計とは涙が乾いた人間である」って話

長い間カジノに通った人間ならわかると思うんだけど、カジノってそれぞれ独特の匂いがするよね。

厨房あたりの匂いが意図せずに流れ出してしまっているカジノもあるけど、一流のカジノは本当にいい香りのする香水をカジノ中に焚き染めている。

匂いの力は強烈。

以前ある香水の匂いを嗅いだ時に、それがWynn(ウィン・永利)の匂いとそっくりで。嗅いだ瞬間、脳内にマカオの情景がわーっと呼び起こされたことがある。

懐かしい匂いを嗅いだ時とか、何でかちょっと切なくなるのよね。その匂いがトリガーとなり、またカジノ旅行に行きたくなる。そして、お金を文字通りティッシュのように使うわけだ。

カジノにある仕掛けは、もちろん匂いだけではない。
カジノにある物全ては合理性に満ち満ちている。

時計はなく
調光は一定
スマホは禁止され
いつも深夜のような雰囲気が漂う
美味しい食事と酒を
露出したカクテルガールが運び
スロット台に腰かけたコールガールは秋波を送る
必要な情報は伏せ
赤青の占いを掲示する
優越感をあおる段差をこしらえたハイリミット
今日の負け分を取り返すバカラ
帰宅を歓迎する嗅ぎなれた香り

出てくるものは判断力を低下させるものばかり。

カジノの仕掛けに対して、プレイヤーである僕たちはどう対処したらいいのだろうか?

カジノで働いていますと言うと、
「いつも誘惑と戦っているんですね」なんて言われたりする。

ちょっと違う。

確かに誘惑に負ける人もいる。

でも、

そういう人はいなくなる

カジノで死んでいく人は、

何かの拍子で自分の優先度一位を「ギャンブル」に書き換えられてしまった人たちだ。

昔ゲストハウスの管理人さんが教えてくれたけど、

「今日はポーカー勝ったから少しだけバカラを打った、なんて言うやつは、負けてもバカラを打つようになるんだよ。勝ってもバカラ、負けてもバカラ。そうやってみんな死んでったよ」

でも、幸いにして僕は全然ハマらなかった。

この前ベガスへ行ったときに、エッフェル塔のあるパリスってホテルに泊まったんだけど、カジノフロアに下りもせずそのまま寝たくらいだ。

ポーカープレイヤーって結構ストイックな人が多い。

僕の場合の問題は、

カジノにある仕掛けに対する対処法が、

「負けないようにする」という考えではなくて、

参考にしようと思い過ぎてしまうようになったことだ。

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