木原直哉ロングインタビュー番外編 『NLSD2-7戦略について』

 

ロングインタビューの取材時にNLSD2-7の戦略についても、木原さんにお話をうかがいました。実は、NLSD2-7大好き人間である私(JJ)はほぼ毎週、木原さんとWeekly NLSD2-7にて対戦しているのです。あまりにマニアックな内容のためお蔵入りの危機でしたが、もったいないので番外編として公開します。

なお、木原さんは、2013年WSOPでは$10,000バイインのNLSD2-7 Lowball(Event #43)にて13位入賞を果たした実力の持ち主です。

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NLSD2-7は好きなゲームだそうです。

NLSD2-7は好きなゲームだそうです。

 

―次のWSOPブレスレットという意味では、木原さんはミックスゲームやホールデム以外のゲームも数多くプレーしていますが、NLSD2-7(ノーリミット・シングルドロー・デュースセブン)は最有力候補ですね。

「WSOPのNLSD2-7は$1500がなくなって、$10000バイインだけになってしまいましたねが、今年の参加者は89人でした。(平均的参加者よりは)エッジがあるとは思いましたから、一つのイベントでブレスレット獲得の可能性は2%ぐらいはあるんじゃないかと。メンツは厳しいですが。

自分が今年参加したときは、初日、左にエリック・サイデル、右にエルキーというテーブルでした(笑)。エルキーがチェンジ前にレイズ、自分がコール。エルキーがスタンドパット、自分が1枚ドローしたらペアに。エルキーがチェックしたのでブラフをせずにチェックバックしたら、『うわー、なんで打たないんだよ』と言って7-6ハイを見せてきました。危なかった(笑)。コールされる感じがしてやめたんですが、自分のドローが引けていたらやられていましたね」

―今年は13位入賞。もう少しでファイナルテーブル、惜しかったですね。

「今年は惜しかったですねぇ。バブルのとき、全然手が入らなかったんですよ」

―ポジションがすごく大事なゲームですよね。後ろにコーラーがいると、プレーが制約されてしまいます。アーリーでJハイが配られてレイズイン、レイトポジションにコールされたとして、こちらのスタンドパットに対して向こうは1枚ドロー。問題は、その後ベットするか。

「大体しないですね、しない方が自然です。自分は9ハイでもチェックします。ベットする価値があまりないように思うので。むしろチェックして相手にオーバーブラフさせて、9やストロングTだったらイージーコールする」

―Jハイでチェックして打たれたら、もう諦めるしかない?

「Jは難しいですね」

―9でもチェックすることで、戦略をバランスさせているということでしょうか。

「自分はそういうイメージでやっています。9やTをコールして、Jをフォールドするようにしています」

―アウトポジションでのスタンドパット後のチェックは、すごく弱いアクションですよね。難しいポイントです。

「意外とチェックレイズが超有効ですよ。その状態のチェックレイズは相当コールできないです。9ハイを持っていたらしびれますね。9-7とか、チェックレイズされてどうします? けっこう降りません?」

―コールして勝っていることは、ほぼないですね。

「そういうシチュエーションでは、まず負けていますよね。そのアクションが出てきたらコールには8ハイは必要ですね。Jのようにベットされて降りるハンドは、チェックレイズ側に回してもいいかもしれないですね。Jハイの4分の3を降りて、4分の1をブラフ側に回して、9とTをチェックコール、8をチェックレイズのレンジに回すとか」

―ある程度強いレンジもチェックに回すことで、相手のブラフをキャッチしつつ、場合によってはチェックレイズも行うということですね。

「ええ。パットに対してオーバーベットって、あのゲームの基本だと思うんですよ。ホント奥が深いですよね、あのゲームは」

―Jハイでブロックベットを打つこともあり得ますよね。

「そうですね、さっきの考え方とまったく同じようにブロックベットは有効ですね。そうすると、レイズに対してある程度の頻度でコールしなきゃいけないですね。ブロックベットに見せかけた9-7あたりのバリューであれば、レイズに対してコールできるでしょうし。あのゲームはプリフロップとリバーしかないホールデムのような感じなので、プレーのバランシングが非常に重要ですね。相手がこういうバランスできている、ということはお互いにわかってしまうので。ホールデムの場合は、なかなかリバーまで行かないですから、バランシングを意識するほどショウダウンに到らない」

―ブラフでスタンドパットするプレーは、木原さんの引き出しの中にはありますか? 例えば、22277のようなカードが配られた場合です。

「ヘッズアップではやります。ただ、あとはブラインド対決ぐらいですね。基本的には損だと思います。そこそこの人数がいるテーブルだと、スタンドパットは弱いという前提があって、チェックするのが基本戦略ではないかと思います。だから、スタンドパットして強い手を主張するのは、自分としてはやりづらいですね」

―ポジションないところで、どうやって利益を出すかが問題です。

「アウトポジションでは、ブラフとモンスターのチェックレイズを入れない限りは、よりポジションの不利が鮮明になってしまいますよね。ただ、一回のダメージが小さいから、ホールデムではフロップ、ターン、リバーでアウトポジションの不利が拡大していきますけど、そこは違いますね。

あと、オッズコールが超重要だと思います。ホールデムの1BBは、インプライドオッズが馬鹿でかくなることもありますけど、2-7では思っているほどではない。したがって、(オッズコールされやすい)プリフロップのミニマムレイズは弱いですね。自分はボタンで2.5bb、それ以外のポジションでは3bbオープンですね」

―NLSD2-7では、どれぐらいの頻度でブラフしますか。

「自分が最近けっこうやっているプレーは、1000点のポットに700点のブラフを打つとき、コールする側は24分の7、つまり約3割ブラフの可能性があればコールしていいわけですね。ということは、打つ側は3割のブラフをすればいい。その比率は、相手がよく降りるようであればブラフの割合を高くすればいいし、相手がすごく強ければ2対1ぐらいの割合でブラフを混ぜればいい。Tハイより強いのハンドでバリューベットをするとしますね。すると、Tより低い4枚のカードを持っていて、グッドアウツは(T未満で手持ちのカードとペアにならない)20枚になります。比率としては1:2ぐらいですね。なので、3BETポットでないときは、T以下のカードを引いたら7割ベットすると決めていますね。ペアになっても、ペアにならなくてもベットする。Tより大きいカードを引いた場合にはチェックする。3BETポットの場合は、もうちょっと基準が厳しくなって、9ぐらいを使っていく。そういうポラライズをしています」

(聞き手・構成/JJ)

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