【3,500ドル(約50万円)からスタートして、1年間でポーチの中身は増えていくのか?】(7/12)

ポーカーをしていたら、腕に日本語で「名誉」って彫ったおじさんと同卓した。
ちょっと興味が湧いたので詳しく話を聞いてみようと思った。

彼に話によると、もともとはサッカーの代表選手としてアメリカへ渡ってきたが、足の故障で断念。その後、米軍に入って沖縄へ赴任したというのだ。
彼の刺青はその時に彫ったものらしい。

「何で名誉って彫ったの?」と聞くと、
「Brave Men of Honor (名誉の勇士) 。名誉に生きて、名誉に死ぬって意味だよ」と言うのだ。

カッコいい親父だなと思った。

その後、
米軍にいた時のお金とツテを頼って起業して、現在は配送会社を経営しているとのこと。
トラック一台からの叩き上げ。立派な親父だな~。

そういう親父の腕に漢字で「名誉」って彫ってあることは、日本人としてちょっと嬉しく思うところだ。

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沖縄親父と談笑しながらポーカーをしていると、彼の隣にヒゲをたくわえた中東顔の男が座った。

少し打って分かったが、この中東男はとても調子のいい奴で、新しくテーブルに来る奴に声をかけては、

「そこに座ってた奴、$8,000勝って帰ったぞ」とか
「そこに座ってた奴、$10,000負けて帰ったぞ」なんて、
どうでもいいような話をしていた。

ゲーム中もずっと喋っていて、僕は「煩わしいな」と思ったが、特に気にしないようにしていた。
この中東男も、何かの会社をやってるらしくて、隣り合った沖縄親父に名刺を渡していた。

張り(賭け)方も適当で、程よくお金を撒いてくれそうな社長(太いお客さん)な感じだったが、マナーがとても悪い。
一番気になったのが、スタック(チップの山)を整えないことだ。自分のチップをいつもぐちゃぐちゃにして、幾ら持っているか分からないようにプレイしようとするのだ。

ポーカーというゲームは、「幾ら持っているか」という要素がとても大切で、それぞれが大体幾ら持っているのか、というのをみんな気にしている。というのも、持ってる額の大小で最適な戦略(必要な勝率とか・降ろせるかとか)が変わるからだ。
また、小額チップに隠して$500や$1,000のチップを一緒に押し出してくる、なんて姑息なこともやってくるので、見ていて気分の良いものじゃなかった。

僕はディーラーに、「彼がいくら持ってるか分からないから、スタックを整えるように注意してくれ」と要求した。直接言うと角が立つので、こういうのはディーラーに言うのが吉。問題を共有できるし、後の裁定にも有利に働く。ディーラーは、もちろんスタックを整える必要があることを知ってるので、中東男に注意するのだが、彼はそれを聞き入れようとしないのだ。

ディーラーは「やれやれ」という感じで、フロア(現場の責任者)を呼んだ。
フロアが到着すると、状況を確認し、中東男にスタックを整えるように指示した。彼は嫌々ながら整えたが、フロアが去ったらすぐにまたチップをぐちゃぐちゃに崩してしまったのだ。

ディーラーは30分くらいで交代していくので、「あのチップどうにかしてよ」と僕がディーラーに指摘して、ディーラーはフロアを呼んで、フロアの前では直すけど、すぐに崩す、というようなことを何と3回も繰り返すこととなったのだ。

本当にしょうもない男だな、、、。

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こういう人を、そのまま放っておく人もいる。

特に、社長(太いお客さん)相手だと、多少マナーの悪いことをしていても、敢えて注意しない、なんて人は多い。社長には居てもらった方が自分が儲かる可能性が高まるからだ。まあ色々な考えがあっていいんじゃないかな、と思う。

僕は社長であろうが、マナーが悪い奴は帰ってもらって構わない派。勤め人を辞めてポーカーをしているのに、今さら社長に気を遣いたくない笑。

テーブル全体が中東男にイライラしていて、他の人もディーラーに注意するよう促し始めた。
ディーラーはまた彼に注意して、さらにフロアを呼んで、という流れになったが、なおも適当な対応をする中東男に、ついに怒った男がいる。

沖縄親父である。

「お前、いい加減にしろよ!」と面罵。
一瞬たじろぐ中東男だったが、彼は理屈にならない暴言を吐いて返す。そして、二人の間には騒ぎを抑えようとフロアが割って入る格好だ。

ここで、今度は予想外の所から声が上がった。

僕の右のシートに座っていた120kgくらいあるテキサス親父だ。椅子を倒しながら立ち上がると、
「何度もスタックを整えろってこの兄ちゃん(僕のこと)が言ってんのに、お前らフロアも何なんだよ!」と一喝。

フロアはビビッて、
今までのなあなあな態度を一変させ、中東男に対して、ゲームを終えて席を立つように注意をすると、彼のチップを集めてキャッシャーで精算をしたのだ。
強制退場である。

フロアは出口の方角を指さすと、一緒に行こうと中東男を促した。

これで収まって普通にポーカーできるか~、と思ったが、中東男はなおもしつこかった。

去り際に、ポーカールーム全体に響き渡る声で、
自分がいかに不当な扱いを受け、理不尽にも退場させられようとしているかを、身振り手振りを交えてて朗々と主張するのだ。

ポーカールームには全体で150名ほどのお客さんがいて、その全員が中東男の方を見ている。彼の言葉を聞いて、大体の人は「何言っているんだこいつ」という感じだが、中には同情の眼差しを向け始めた人もいる。

人間は、最初に入った情報を信じるようにできているので、この男の言うことを真に受ける人が出て来ることもあるだろなーと思った。ある集団の中で自分が不利な状態になって、その一回り外側の勢力を嘘で巻きこんで形勢を逆転する、、。いやー、これは日本人には咄嗟にできない戦術だなー、、なんてことを考えた。(こいつはやり慣れている)

フロアは「やれやれ」という顔で、無線でセキュリティを呼んだ。
ポーカールームでトラブルが起きると、ディーラーが仲裁に入り、収まらなければフロアを呼んで、それでも収まらなければセキュリティを呼ぶ流れになっている。

無線を受けて、武装した屈強な体躯のセキュリティが2人現れる。

これにはさすがに参るか、、と思ったが、出口を出た後も中東男は暴言を吐き続けた。が、その声も次第に遠ざかっていき、やがて聞こえなくなった。

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今思い返しても、ほんっとうにゴミのような男だった。
この日は、沖縄親父とテキサス親父、そしてゴミのような親父が対照的で、色々と考えさせられる日になった。

 

【2023年4月】
勝ち負け $7,345
ポーチの中身 $21,604

$3,500から結構増えてきました。$20,000突破。
ポーチも、新しく買ったガマグチも一杯になったので、もう一個ガマグチを買ってみました。

 

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